高齢化社会において、ひとりで暮らす高齢者は増えていく一方。
「ちゃんと食事しているのかな」「こけたりしていないかな」
年齢を重ねるごとに体力は衰えるだろうし…
元気で暮らしているのかどうか、離れて暮らす親への心配は尽きません。
同居して見守ることができれば良いのですが、仕事や家庭の都合でなかなか同居も難しいケースもあります。そんな方の心強い味方、離れて暮らす親の見守りをしたいというニーズに応えた「見守りサービス」。
種類や内容は多様化し、いろいろな選択ができる反面、どのサービスが適しているのか迷ってしまうという声が聞かれます。
見守りサービスを検討しているご家族様へ、高齢者の見守りサービスの種類、メリット・デメリットをご紹介します。
介護の現場から相談の声
離れて暮らすご家族の生活について相談される方は高齢者本人のご家族(息子・娘)がほとんどです。
- 離れて暮らす高齢の親が心配
- 日中はデイサービスで安心だけど夜間が気がかり
- まだまだ元気だけど万が一何かあったら…と不安
- 他県に住んでいるひとり暮らしの母親が元気に生活しているか知りたい
- フルタイムで働いているため昼間は親がひとりきり…倒れていないか気になる
- 家庭の都合により頻繁に会いにいけない、高齢の親が心配
など、介護の現場に寄せられるご家族の悩ましい声は尽きません。
もしものときに使える!見守りサービスを選ぶポイント
見守りサービスを導入する場合、どんなポイントに注意して選べばよいのかご紹介します。
操作が簡単なものを選ぶ
何よりも利用する高齢者本人が使えないとサービス利用の意味はありません。難しい操作が必要な場合、設置したのはいいけれど部屋の隅で埃をかぶったまま…というケースも。
高齢者にも分かりやすい見た目で簡単な操作、置いたらすぐ使える!がポイントです。
費用で選ぶ
見守りサービスは介護保険外のサービスですので全額自己負担となります。
「見守りサービス以外にも介護費用が必要だし、できるだけ安く抑えたい。あんまり高いと親も気を遣うし…」というのがご家族の本音でしょう。
しかし安ければ安いほど良いというものではなく、求めている見守りのニーズをカバーしてくれる見守りサービスを選ぶことが大切。
初期費用、月額費用がいくら必要なのか、緊急時のオプションはいくら必要なのかと予算を決め、サービス内容と予算を合わせて検討しましょう。
親の状況に合わせて選ぶ
これが一番大切なポイントでしょう。
24時間の見守りが必要なのか?半日の12時間でOKなのか?緊急時のときだけでいいのか?どんな状況でどんなサポートが必要なのかを考えてサービスを選ばなくてはいけません。
次にご紹介する見守りサービスの種類をぜひご参照ください。
【タイプ別】おすすめ見守りサービス4選
警備駆付型
ボタンを押せば緊急通報サービスによって警備員がかけつけてくれるシステム。24時間健康相談に対応していますので体調不良のときも安心。セキュリティ会社がサービス展開しているケースが多いです。
カメラ型
室内にカメラを設置し、離れた家族に日常生活の様子をライブ映像で届けます。離れていてもリアルタイムで親の状況を確認することができます。録画映像での確認や会話機能によって離れたご家族と映像を見ながらコミュニケーションをとることができます。
センサー型
人感センサーを設置することで、生活状況をセンサーで自動チェックしてくれます。利用者の動きをチェックできないときは自動で家族に知らせてくれます。室内に設置するタイプ、ドアに設置するタイプなどがあります。センサー型は、インターネットを利用するタイプと利用しないタイプに分かれます。
訪問型
地域の専任スタッフが高齢者の自宅を訪問し安否確認するタイプ。郵便局の「みまもりサービス」が有名。郵便局員が定期的に利用者の自宅へ直接訪問し、あらかじめ決められた質問項目(体調や食事状況など)や相談を聞き、結果をメールや郵送で報告してくれます。
また、配食サービスとともに安否・状況確認を行ってくれる見守りサービスもあります。
この他に、電話回線を使用した見守りロボット、担当者が定期的に電話をかけ安否確認を行う会話型、見守り機能のついた家電タイプなどがあります。
自治体によっては、高齢者の孤立・孤独死防止や安否確認のため見守りサービスを実施しています。ひとり暮らし、高齢者世帯など対象者へ緊急通報システムを設置している支援も。状況に応じて家族へ連絡や救急車要請を行えます。
健康相談や定期的や電話での安否確認なども定額で利用できますが、自治体によってサービスの内容に幅があること、対象者が限定されている場合が多いので「使いたいのに使えない!」という声も聞かれます。
【タイプ別】見守りサービスのメリット・デメリット
警備駆付型
メリット
大手セキュリティ会社がサービス提供しているケースが多く信頼感は〇。
緊急時の緊急通報により警備員の駆け付け安否確認、健康相談など複合的なサービスを24時間の見守り体制で受けることができます。
夜間転倒してしまった場合もボタンひとつで駆けつけてくれるので安心。
デメリット
ホームセキュリティを導入している家庭では比較的導入しやすいサービスですが、費用が高額。利用者が「体調が悪いな」と思ったときにボタンを押さないと緊急通報できず、とっさの時に間に合わない可能性もあるのがデメリットでしょう。
カメラ型
メリット
室内にカメラを設置するだけなので手軽に導入できます。リアルタイムでの状況や録画機能により過去の行動を確認でき、家族が目で見て確認できるという点がメリット。
スマートフォンだけでなく、パソコンやタブレットなど様々なデバイスで対応できます。
デメリット
カメラ型の一番のデメリットはプライバシーの問題。「いつも監視されているようで嫌だ」と、利用者本人が拒否し導入できないケースが多いということでしょう。
センサー型
メリット
24時間365日、利用者の生活リズムを乱すことなく見守りできるため緊急時だけでなく、普段の見守りも可能で異変の早期発見に対応しています。
カメラ型と異なり、親のプライバシーも守られるため導入に拒否する方へのストレスが少なく、生活に合わせた見守りができます。
人感センサーなので、転倒したまま動けなくなった場合、高齢者本人が操作しなくてもセンサーが動作を感知できないということを知らせてくれます。
また、緊急時は警備駆付を利用することができるので万が一のときも安心。
デメリット
機械を通じたコミュニケーションができません。顔色や話し方の変化(声のかすれ、呂律が回っていないなど)、声のトーンなど身体の異変は感知できないため、比較的自立度の高い高齢者の最小限の見守り、情報収集に特化しています。
訪問型
メリット
なんといっても直接訪問してくれるということが最大のメリット。
郵便局員や配送業者など、地域に密着した企業の専任スタッフが安否確認してくれる安心感があります。利用者本人にとってコミュニケーションのひとつとなり、孤独の解消につながります。
デメリット
定期訪問のため、日常的な見守りや緊急時の対応には向いていません。また、見守りに特化した専門スタッフではなく、あくまでも郵便局、配送サービスの延長としてのサービスとなります。専門知識がないため、利用者のちょっとした変化に気づきにくいというデメリットがあります。
人の訪問を嫌がる、人間関係が煩わしいと思う利用者には導入しにくいサービスでしょう。
【まとめ】優しさをつなぐ、見守りサービスで安心の親孝行を
見守りサービスはそれぞれメリットとデメリットがありますが、はじめて見守りサービスの導入を検討している方へはセンサー型からのスタートがおすすめ。
見守りに特化し、プライバシーに配慮されていますので利用者の抵抗感も少なく導入できるでしょう。
センサーが感知されない場合「何かあったのでは?」というときはメールで連絡されますので、手軽に利用することができます。
親の自立した生活を支え、遠隔から見守りができるセンサー型見守りサービス、まずはこちらから取り入れてみてはいかがでしょうか?
*筆者プロフィール*【吉田 杏】
現在、グループホームのケアマネージャーとして勤務。社会福祉士・介護福祉士・メンタル心理カウンセラー・介護支援専門員資格所持。