クチャラーの治し方は6つの原因で変わる|今日からできる改善法と専門治療

📝 この記事でわかること
・クチャラーになる6つの原因と、自分がどのタイプかの見分け方
・今日から実践できる食べ方の改善テクニック7選
・口まわりの筋トレ・歯科矯正など根本的な治し方
・家族や身近な人にやさしく伝える声かけの工夫

食事中に「くちゃくちゃ」と音を立てて食べてしまう、いわゆる「クチャラー」。自分では気づいていないのに、家族や周囲から指摘されてショックを受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。あるいは、大切なご家族の咀嚼音が気になっているけれど、どう伝えたらよいか悩んでいる方もいるかもしれません。

クチャラーの治し方は、原因によってまったく違います。口呼吸が原因の方と、噛み合わせが原因の方では、取るべき対策が異なるのです。逆に言えば、自分の原因さえわかれば、改善への道筋はかなり明確になります。

この記事では、クチャラーになってしまう6つの原因を整理したうえで、食べ方の工夫・口まわりの筋トレ・専門家への相談まで、段階別の治し方を具体的にご紹介します。家族への伝え方や、放置した場合のリスクまで網羅していますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

そもそもクチャラーとは?くちゃくちゃ音が出る仕組みを知ろう

クチャラーの定義と「音が出る」メカニズム

クチャラーとは、食事中に口を開けたまま噛むことで「くちゃくちゃ」という咀嚼音が周囲に聞こえてしまう人のことです。医学的な正式名称ではなく、ネットスラングから広まった言葉ですが、今では日常会話でも普通に使われるほど定着しています。

音が出る仕組みはシンプルです。口を閉じた状態で噛めば、食べ物と唾液は口腔内の密閉空間で静かに混ざります。ところが唇が開いた状態で噛むと、口の中に空気が出入りし、食べ物と唾液が空気を巻き込んで「くちゃくちゃ」という音が発生します。つまり、口が開いているか閉じているかが音の有無を決める最大の要因です。

ただし「口を閉じているつもりなのに音が出る」というケースもあります。これは噛み合わせのズレや、舌の動かし方の癖によるもので、単に「口を閉じなさい」では解決しません。原因ごとに対処法が変わるからこそ、まず仕組みを理解することが大切です。

自分がクチャラーかどうか確認する3つの方法

クチャラーの厄介な点は、本人に自覚がないことがほとんどだということです。自分の咀嚼音は骨伝導で聞こえるため、空気伝導で聞いている周囲の人とは聞こえ方がまるで違います。「まさか自分が」と思っている方も、以下の方法で確認してみてください。

1つ目は、スマートフォンで食事中の音を録音する方法です。30cmほど離した場所にスマートフォンを置き、普段通りに食事をして録音してみましょう。再生して「くちゃくちゃ」という音が聞こえたら、周囲にも同じ音が届いています。

2つ目は、鏡の前で食事をすること。食べている最中に唇が開いていないか、口角のあたりに隙間ができていないかを目視で確認します。3つ目は、信頼できる家族に率直に聞くことです。「食べるとき音出てる?」と聞けば、たいていの家族は正直に教えてくれます。

注意したいのは、1回の確認で「大丈夫だった」と安心しないことです。疲れているとき、急いで食べているとき、硬いものを噛んでいるときなど、状況によって音の出方は変わります。数回にわたって確認するのが確実です。

クチャラーを不快に感じる人はどのくらいいるのか

「そんなに気にする人いるの?」と思われるかもしれませんが、咀嚼音に対する不快感は想像以上に広く共有されています。マイナビニュースの調査では、他人の咀嚼音が「気になる」と答えた人は約7割にのぼりました。職場のランチや家族の食卓など、日常的な食事シーンで不快感を覚えている人は少なくないのです。

特にシニア世代にとって気をつけたいのは、孫や子どもとの食事の場面です。せっかくの楽しい団らんが、咀嚼音ひとつで気まずくなるのはもったいないことです。また、近年は「ミソフォニア(音嫌悪症)」という、特定の音に対して強い不快感や怒りを感じる症状も注目されており、咀嚼音はその代表的なトリガーの一つとされています。

ただし、音に敏感な人とそうでない人がいるのも事実です。「家族はずっと我慢していたけれど、本人はまったく悪気がなかった」というケースが大半ですから、必要以上に自分を責める必要はありません。大切なのは、気づいたら改善に取り組むことです。

年齢を重ねるとクチャラーになりやすい理由

若い頃は音を立てずに食べられていたのに、50代・60代になってからクチャラーになるケースは珍しくありません。加齢によって口まわりの筋力(口輪筋や頬筋)が衰え、食事中に口をしっかり閉じ続ける力が弱くなるためです。

さらに、加齢に伴う歯の喪失や入れ歯の使用も影響します。歯が減ると噛み合わせのバランスが崩れ、口が自然と開きやすくなります。入れ歯が合っていない場合、噛むたびにカチカチ・くちゃくちゃと音が出ることもあります。歯科医院で入れ歯の調整をするだけで、咀嚼音が改善されるケースも少なくありません。

また、加齢とともに唾液の分泌量が減少する「ドライマウス」の傾向が強まると、口の中が乾いて食べ物がスムーズにまとまらず、余計に音が出やすくなります。年齢のせいだと諦めず、原因に合った対策を取れば改善できる点は覚えておいてください。

クチャラーになる原因は6つ|あなたの治し方のヒントはここにある

原因①口呼吸が習慣になっている

クチャラーの原因として最も多いのが、口呼吸の習慣です。鼻が詰まりやすいアレルギー性鼻炎や花粉症の方、あるいは幼少期から口呼吸が癖になっている方は、食事中も無意識に口で息をしながら噛んでしまいます。口で呼吸しながら口を閉じて噛むことは物理的にできないため、自然とくちゃくちゃ音が出てしまいます。

口呼吸かどうかを簡単にチェックする方法があります。リラックスしているとき(テレビを見ているとき、スマートフォンを操作しているとき)に、口が開いているかどうかを家族に見てもらいましょう。無意識に口が半開きになっていれば、口呼吸の可能性が高いです。

口呼吸の改善には、まず耳鼻科で鼻づまりの原因を治療することが先決です。鼻中隔湾曲症やアレルギー性鼻炎など、治療で鼻の通りが改善すれば、自然と鼻呼吸に切り替わるケースも多くあります。鼻の治療なしに「口を閉じて食べなさい」と言っても、苦しくなるだけで長続きしません。

原因②噛み合わせが悪い・歯並びに問題がある

上下の歯がきちんと噛み合っていない場合、口を閉じても隙間ができてしまい、そこから空気が入って音が出ます。出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前突)、開咬(前歯が噛み合わない状態)などは、特に咀嚼音が出やすい歯並びです。

日本矯正歯科学会によると、日本人の約6〜7割に何らかの歯列不正があるとされています。つまり、噛み合わせが完璧な人のほうが少数派です。ただし、歯並びが悪いからといって必ずクチャラーになるわけではなく、口まわりの筋力でカバーできている方もいます。

噛み合わせが原因のクチャラーの場合、矯正治療が根本的な解決策になります。近年はマウスピース矯正(インビザラインなど)の選択肢もあり、60代・70代で矯正を始める方も増えています。費用は30万〜100万円程度が目安ですが、噛み合わせの改善は咀嚼音だけでなく、食事の楽しさや消化にも良い影響を与えます。

原因③口まわりの筋力が弱い

唇を閉じる力を担う「口輪筋」や、頬を引き締める「頬筋」が弱いと、噛んでいる最中に口が開いてしまいます。特に柔らかいものばかり食べる食生活を続けていると、口まわりの筋肉を使う機会が減り、筋力が低下しやすくなります。

口輪筋の強さは簡単にテストできます。薄いボタン(直径2cm程度)に糸を通し、唇と歯の間に挟んで糸を引っ張ってみてください。すぐにボタンが抜けてしまうようなら、口輪筋が弱い可能性があります。歯科医院で口唇閉鎖力を測定できる機器(りっぷるくんなど)を備えているところもあります。

幸い、筋肉は何歳からでも鍛えることができます。口まわりの筋力が原因なら、後述するトレーニングで改善できる余地が大きいタイプです。噛み合わせの矯正に比べて費用もかからず、自宅で取り組めるのがメリットです。

原因④一口の量が多い・食べ方の癖

口に入れる量が多すぎると、口の中が食べ物でいっぱいになり、物理的に口を閉じられなくなります。テレビを見ながら、スマートフォンを操作しながらの「ながら食べ」も要注意です。食事に集中していないと、口を閉じて噛む意識が薄れ、無意識にくちゃくちゃと食べてしまいます。

目安として、一口の量は「奥歯の上に食べ物が収まる程度」が適量です。箸で取る量を意識的に半分にしてみるだけで、口を閉じやすくなります。また、食べ物を口に入れたら箸を一度置く「箸置き食べ」は、一口の量をコントロールするのに有効な方法です。

食べ方の癖は長年かけて染みついたものなので、1日2日では変わりません。ただし、癖であるということは、意識と練習で変えられるということでもあります。噛み合わせや鼻づまりといった身体的な原因がない方は、食べ方の意識改革だけで改善できるケースがほとんどです。

⚠️ こんな食べ方は要注意
・口に食べ物が入ったまま話す → 空気が入りやすく音が出る
・片側だけで噛む癖がある → 噛み合わせのバランスが崩れる原因に
・急いで食べる → 一口の量が増え、口が閉じにくくなる
・猫背で食べる → 口が開きやすい姿勢になり咀嚼音が増える

原因⑤舌の位置や動かし方に癖がある

あまり知られていませんが、舌の位置や動かし方もクチャラーの原因になります。正しい舌の位置は、リラックス時に舌先が上あごの前歯の裏側あたりに軽く触れている状態です。舌が低い位置に落ちている「低位舌」の方は、食べ物を上あごに押しつけて噛む動作がうまくできず、口が開きやすくなります。

低位舌は子どもの頃からの癖であることが多いのですが、加齢による舌の筋力低下で後天的になるケースもあります。舌の筋力が落ちると食べ物を口の中でまとめる力も弱くなり、噛んでいる途中で食べ物が口の前方にこぼれてきて、口を閉じにくくなります。

舌の位置の改善には「MFT(口腔筋機能療法)」と呼ばれるトレーニングが有効です。歯科医院で指導を受けられますが、基本的な舌トレーニングは自宅でも行えます。舌を上あごに吸いつけて「ポン」と鳴らす「ポッピング」や、舌先で上あごをなぞる「スポットポジション練習」が代表的な方法です。

原因⑥入れ歯や被せ物が合っていない

入れ歯(義歯)や被せ物(クラウン)が合っていないと、噛むたびにカタカタ・くちゃくちゃと音が出ることがあります。特に総入れ歯の場合、吸着が悪くなると噛むたびに外れかけて空気が入り、独特の咀嚼音が発生します。

入れ歯は作ってから時間が経つと、歯茎の形状変化(骨吸収)によって合わなくなっていきます。一般的に、入れ歯の寿命は4〜5年程度とされており、使い続けるうちに徐々にフィット感が悪くなります。合わない入れ歯を我慢して使い続けると、咀嚼音だけでなく痛みや食事の不便さにもつながります。

心当たりがある方は、歯科医院で入れ歯の調整(リライン・リベース)をしてもらいましょう。費用は保険適用で3,000〜5,000円程度です。調整だけで咀嚼音が大幅に改善されることも珍しくありません。「入れ歯が合わないのは仕方ない」と諦めている方が多いのですが、定期的な調整で快適さはかなり変わります。

📊 みまもりノート調べ|クチャラーの原因別割合と対処の目安

原因 該当しやすい年代 改善の手軽さ 費用目安
口呼吸 全年代 ★★★ 耳鼻科受診 1,000〜3,000円
噛み合わせ不良 全年代 ★☆☆ 矯正 30万〜100万円
口まわりの筋力低下 50代以上 ★★★ 0円(自宅トレ)
一口の量が多い 全年代 ★★★ 0円(意識改善)
舌の位置・低位舌 全年代 ★★☆ MFT指導 3,000〜5,000円
入れ歯・被せ物の不適合 60代以上 ★★★ 調整 3,000〜5,000円

クチャラーの治し方①|今日からできる食べ方の改善5つのコツ

一口の量を「いつもの半分」にしてみる

クチャラーの治し方として最も手軽で即効性があるのが、一口の量を減らすことです。口の中に余裕があれば唇を閉じやすくなり、それだけで咀嚼音は大幅に減ります。目安は「いつもの半分」です。箸やスプーンで取る量を意識的に少なくしてみてください。

最初のうちは「少なすぎるかな」と感じるかもしれませんが、一口が小さいほうがよく噛めますし、味もしっかり感じられます。実際、フランス料理のマナーでは一口量は小さめが基本で、これは見た目の上品さだけでなく、音を立てないための合理的なルールでもあります。

特にお餅、パン、焼き肉など、大きな口で頬張りがちな食べ物は要注意です。一口サイズにあらかじめ切ってから口に入れるだけで、驚くほど音が減ります。「一口を小さく」は、噛み合わせや筋力に問題がない方であれば、これだけで改善するケースもあります。

「口を閉じて30回噛む」を食事の最初の5分だけ意識する

「口を閉じて噛む」と言われると、食事中ずっと意識し続けなければならないように感じてしまいます。でも、ずっと意識し続けるのは現実的ではありません。おすすめは、食事の最初の5分間だけ「口を閉じて30回噛む」と意識する方法です。

人間の脳は、最初に意識した行動を習慣化しやすい性質があります。食事のスタート時に正しい噛み方を意識すれば、5分後以降は無意識でもその噛み方が続きやすくなります。毎食の最初の5分を「練習タイム」と考えれば、負担も小さくて続けやすいはずです。

30回噛むことで唾液の分泌も増え、口の中が潤って食べ物がまとまりやすくなるという副次効果もあります。咀嚼音の改善だけでなく、消化にも良いですし、食べすぎの予防にもなります。1週間ほど続けると、意識しなくても自然に口を閉じて噛めるようになったという声は多いです。

✅ 食事の最初の5分でやること

  1. Step1: 一口の量をいつもの半分にして口に入れる
  2. Step2: 唇をしっかり閉じてから噛み始める
  3. Step3: 30回噛んでから飲み込む(数えなくてOK、「いつもより多め」の意識で十分)

姿勢を正すだけで口が閉じやすくなる

意外と見落とされがちですが、食事中の姿勢は咀嚼音と密接に関係しています。猫背で食べると頭が前に出て、下あごが下がり、自然と口が開きやすくなります。逆に、背筋を伸ばして椅子に座ると、下あごが正しい位置に収まり、口を閉じたまま噛みやすくなります。

理想の食事姿勢は、足の裏が床にしっかりついた状態で、背筋を伸ばし、テーブルとお腹の間にこぶし1つ分の隙間がある状態です。テーブルが低すぎる場合は前かがみになりやすいので、座布団で高さを調整するのも一つの方法です。

また、テレビやスマートフォンを見ながら食べると、首が前に出て猫背姿勢になりがちです。食事中はできるだけ画面を見ないようにすると、姿勢の改善と「ながら食べ」の防止を同時に実現できます。姿勢は噛み合わせの改善や消化促進にも効果がありますので、咀嚼音のためだけでなく、食事全体の質を上げる習慣として取り入れてみてください。

食べ物ごとの「音が出やすいポイント」を知っておく

すべての食べ物で同じように音が出るわけではありません。音が出やすい食べ物と、その対策を知っておくと、外食時にも役立ちます。

音が出やすいのは、粘着性のある食べ物(お餅、キャラメル、ガム)、水分の多い食べ物(スイカ、トマト、みかん)、そして大きくて噛みちぎる必要がある食べ物(ハンバーガー、おにぎり、サンドイッチ)です。粘着性のある食べ物は口の中で「ペチャペチャ」という音が出やすく、水分の多い食べ物は「ジュルジュル」と音が出がちです。

対策としては、粘着性のある食べ物は小さく切ってから口に入れること、水分の多い食べ物は吸い込まずに口に運ぶこと、大きな食べ物はあらかじめカットすることです。ガムを噛む習慣がある方は、練習として「口を閉じてガムを噛む」ことを意識してみてください。ガムは音が出やすい分、口を閉じる練習に最適な食べ物でもあります。

注意すべきは、音を気にするあまり食事を楽しめなくなることです。すべての食べ物を完璧に無音で食べる必要はありません。麺をすする音や、歯ごたえのある漬物を噛む音は、日本の食文化では許容されています。問題なのは「くちゃくちゃ」という口を開けて噛む音であって、食べ物自体の音ではありません。

クチャラーの治し方②|口まわりの筋トレで根本から改善する

「あいうべ体操」で口呼吸を鼻呼吸に切り替える

クチャラーの治し方として、歯科医師や耳鼻科医が推奨しているのが「あいうべ体操」です。福岡市のみらいクリニック院長・今井一彰医師が考案したこの体操は、口まわりと舌の筋肉を鍛えることで、口呼吸を鼻呼吸に改善する効果が期待できます。

やり方はシンプルです。「あー」で口を大きく開く、「いー」で口を横に広げる、「うー」で口を前に突き出す、「べー」で舌を思い切り下に出す。この4つの動きを1セットとして、1日30セットが目安です。所要時間は3〜4分程度で、入浴中やテレビを見ているときに行えます。

効果を実感するまでに1〜3か月かかることが多いですが、続ければ口輪筋と舌の筋力が確実に強くなります。声を出す必要はなく、口の形だけ大きく作れば効果があります。唾液分泌の促進や、いびきの改善にも効果があるとされており、クチャラー対策以外のメリットも多い体操です。

💡 暮らしの知恵
あいうべ体操は「入浴中」がベストタイミング。湯気で口の中が潤い、筋肉もほぐれているので動かしやすく、一人の空間なので恥ずかしさもありません。毎日のお風呂習慣に組み込めば、忘れにくくなります。

ペットボトルトレーニングで口輪筋を鍛える

口輪筋を効率的に鍛える方法として、ペットボトルを使ったトレーニングがあります。空の500mlペットボトルに少量の水(50ml程度)を入れ、ペットボトルの口を唇だけでくわえて持ち上げ、10秒間キープします。これを5回1セット、1日3セットが目安です。

最初は水なし(空のペットボトル)から始めても構いません。口輪筋が弱い方はペットボトルの重さだけで唇がプルプルするはずです。慣れてきたら水の量を50ml→100ml→150mlと徐々に増やしていくと、段階的に負荷を上げられます。

このトレーニングのポイントは「歯でくわえない」こと。唇の力だけで持ち上げることが重要です。歯を使ってしまうと口輪筋のトレーニングになりません。2〜3週間続けると、食事中に口を閉じるのがラクになってきたと感じる方が多いです。ペットボトル1本でできる手軽さが続けやすさの秘訣です。

舌回しトレーニングで舌の筋力と位置を改善する

舌の筋力を鍛え、正しい位置(スポットポジション)に舌を置く習慣をつけるトレーニングです。口を閉じた状態で、舌先を歯茎に沿ってぐるりと大きく回します。右回り20回、左回り20回を1セットとし、1日2〜3セット行います。

最初は10回でも舌の付け根が痛くなるかもしれません。それだけ普段使っていない筋肉だということです。舌は筋肉の塊ですので、トレーニングによる効果が出やすい部位でもあります。1か月ほど続けると、食べ物を口の中でコントロールする力が上がり、噛んでいる途中に口が開きにくくなります。

舌回しにはほうれい線の改善や顔のたるみ予防の効果もあるとされています。食事のマナー改善と美容が同時にできるのは嬉しいポイントです。ただし、顎関節症の方は舌回しで顎に負担がかかる場合があるため、痛みを感じたら無理をせず、歯科医師に相談してください。

ガムトレーニングで「閉口咀嚼」を体に覚えさせる

普段の食事とは別に、ガムを使って「口を閉じたまま噛む」動作を体に覚え込ませるトレーニングです。粒ガムを1粒口に入れ、口を閉じたまま左右の奥歯で交互に30回ずつ噛みます。1日2〜3回、1回5分程度が目安です。

ガムが練習に適している理由は3つあります。飲み込む必要がないので噛む動作だけに集中できること、弾力があるため筋トレ効果もあること、そしていつでもどこでもできることです。キシリトール配合のガムを選べば、虫歯予防にもなります。

ポイントは鏡の前で行うこと。ガムを噛んでいるときに唇が開いていないか、目で確認しながら練習すると効果的です。1週間もすると、「口を閉じて噛む」感覚が体に染みつき、食事中にも無意識でできるようになります。ガム1粒で始められるお手軽さも、この練習法のよいところです。

クチャラーの治し方③|歯科・耳鼻科で専門的にアプローチする

歯科矯正で噛み合わせを根本から整える

噛み合わせが原因のクチャラーにとって、歯科矯正は最も確実な治し方です。出っ歯、受け口、開咬など、歯並びの問題で口が閉じにくい場合は、自力のトレーニングだけでは限界があります。矯正治療で歯列を整えることで、自然と口が閉じた状態で噛めるようになります。

近年はシニア世代の矯正も珍しくなくなりました。日本矯正歯科学会の認定医がいるクリニックでは、60代・70代の患者も増えているそうです。選択肢としては、ワイヤー矯正(表側・裏側)が30万〜80万円、マウスピース矯正(インビザラインなど)が40万〜100万円が相場です。部分矯正であれば15万〜40万円程度で済むケースもあります。

治療期間は全体矯正で1年半〜3年、部分矯正で6か月〜1年程度です。「今さら矯正なんて」と思われるかもしれませんが、噛み合わせの改善は咀嚼音だけでなく、食事の楽しさ、消化吸収、顎関節への負担軽減など、健康面のメリットが多くあります。まずは矯正歯科で無料相談を受けてみるのがよいでしょう。

耳鼻科で鼻づまりの原因を治療する

口呼吸が原因のクチャラーは、耳鼻科での鼻づまり治療が改善への近道です。慢性的な鼻づまりの原因には、アレルギー性鼻炎、鼻中隔湾曲症、副鼻腔炎(蓄膿症)、鼻ポリープなどがあります。それぞれに適した治療法があるため、まずは耳鼻科で原因を特定することが大切です。

アレルギー性鼻炎であれば、抗アレルギー薬の服用やステロイド点鼻薬で症状をコントロールできます。保険適用で月1,000〜3,000円程度です。鼻中隔湾曲症が原因なら、手術(鼻中隔矯正術)で鼻の通りを改善できます。保険適用で自己負担3万〜5万円程度、日帰りまたは1泊入院で行えるクリニックもあります。

「鼻づまりは体質だから仕方ない」と諦めている方が多いのですが、耳鼻科の治療は年々進歩しています。レーザー治療で鼻の粘膜を焼縮する方法は、花粉症の季節前に行えば数か月〜数年の効果が期待でき、費用も保険適用で1万円前後です。鼻の通りが良くなれば、食事中だけでなく睡眠の質も改善されることが多いです。

歯科でMFT(口腔筋機能療法)の指導を受ける

MFT(Myofunctional Therapy=口腔筋機能療法)は、舌や唇、頬の筋肉の使い方を正しく訓練するプログラムです。もともとは子どもの口腔機能発達のために行われていましたが、大人のクチャラー改善にも効果があるとして注目されています。

MFTでは、舌の正しい位置(スポットポジション)の習得、飲み込み方(嚥下)の改善、口唇閉鎖力の強化など、食事に関わる口腔機能を総合的にトレーニングします。歯科医院でのカウンセリングと指導が月1〜2回、自宅での練習が毎日5〜10分程度です。

費用は自費診療の場合が多く、1回3,000〜5,000円程度が相場です。矯正治療の一環として行う場合は矯正費用に含まれることもあります。6か月〜1年の継続で効果を実感する方が多いです。自己流のトレーニングでは改善が見られなかった方や、正しいやり方がわからない方は、専門家の指導を受けることで効率よく改善できます。

治療法 費用の目安 期間 向いている人
歯科矯正(全体) 30万〜100万円 1.5〜3年 噛み合わせが原因の方
歯科矯正(部分) 15万〜40万円 6か月〜1年 前歯の隙間など限定的な問題
耳鼻科治療(投薬) 月1,000〜3,000円 継続 アレルギー性鼻炎の方
鼻中隔矯正術 3万〜5万円 手術1回 鼻中隔湾曲症の方
MFT 1回3,000〜5,000円 6か月〜1年 舌や口唇の筋力・癖の改善
入れ歯の調整 3,000〜5,000円 1〜2回 入れ歯が合わない方

家族のクチャラーを傷つけずに指摘する方法

「あなたが悪い」ではなく「自分が気になる」と伝える

家族がクチャラーだと気づいたとき、最も難しいのが「どう伝えるか」です。ストレートに「食べ方が汚い」「音がうるさい」と言ってしまうと、相手のプライドを傷つけ、食事の時間が気まずくなりかねません。特に配偶者や親に指摘する場合は、言い方に配慮が必要です。

効果的なのは「You(あなた)メッセージ」ではなく「I(わたし)メッセージ」で伝える方法です。「あなた、くちゃくちゃ食べるのやめて」ではなく、「最近、食事中の音がちょっと気になってしまって。私の気にしすぎかもしれないんだけど」と、自分の感覚として伝えるのです。

このとき重要なのは、人前ではなく二人きりのときに伝えること、そして食事中ではなくリラックスした場面で切り出すことです。食事中に指摘されると、相手はその場で萎縮してしまい、食事が楽しめなくなります。「この前テレビで見たんだけど、口を閉じて食べると味がよくわかるらしいよ」など、第三者の情報として共有する形も入りやすい方法です。

「健康のため」という角度から提案する

クチャラーの指摘は、マナーの話として切り出すとどうしても「お説教」のニュアンスが出てしまいます。代わりに「健康」の視点から話を始めると、相手も受け入れやすくなります。

たとえば「口呼吸って歯周病や口臭の原因になるらしいよ。鼻で息しながら食べると体にもいいんだって」「よく噛んで食べると認知症予防になるって聞いたけど、一緒にやってみない?」など、相手のためを思った提案として伝えるのです。

実際、口呼吸は口腔乾燥を招き、虫歯や歯周病のリスクを高めます。クチャラーの改善は見た目のマナーだけでなく、口腔内の健康を守ることにもつながります。相手が「自分のためになる」と思えば、改善のモチベーションも上がりやすくなります。

⚠️ やってしまいがちなNG対応
・食事中に「くちゃくちゃしてるよ」と毎回指摘する → 食事がストレスに
・家族の前で「お父さんクチャラーなんだよね」と言う → 本人のプライドを深く傷つける
・黙って我慢し続ける → 不満が溜まり、ある日爆発して大きな喧嘩になることも

子ども・孫のクチャラーは早めの対応が鍵

お孫さんが「くちゃくちゃ」食べているのが気になるという声は少なくありません。子どもの咀嚼音の原因は、食べ方の癖(まだ正しい食べ方を習得していない)、口呼吸の癖、歯並びの問題のいずれかであることがほとんどです。

子どもの場合、注意するタイミングと言い方が特に大切です。食事中にガミガミ言うと、食事自体が嫌いになってしまう恐れがあります。「お口を閉じて、モグモグしてごらん。あ、上手!」のように、できたときに褒める方式が効果的です。

ただし、口呼吸が原因の場合は、アデノイド肥大や慢性鼻炎の可能性もあります。4〜6歳はアデノイド(咽頭扁桃)が肥大しやすい時期で、鼻の奥が塞がれて口呼吸になりやすい年齢です。「おじいちゃん・おばあちゃんの立場から直接注意するより、まず親御さんに気になることを伝え、必要なら耳鼻科の受診を勧める」のが、波風を立てにくい対応です。

実は意外と知られていない「ミソフォニア」という視点

家族の咀嚼音が気になって仕方がない場合、それは単なる「マナーが気になる」のではなく、「ミソフォニア(音嫌悪症)」の可能性もあります。ミソフォニアとは、特定の音(咀嚼音、鼻をすする音、キーボードのタイプ音など)に対して、怒りや嫌悪感など強い感情反応が起こる状態のことです。

オランダのアムステルダム大学の研究では、一般人口の約15〜20%にミソフォニアの傾向があるとされています。「こんなに気になるのは自分がおかしいのでは」と悩んでいる方もいますが、決して珍しいことではありません。

ミソフォニアがある場合、相手のクチャラーを治すだけでなく、自分の側の対策も必要になることがあります。食事中にBGMをかける、テレビをつけておくなど、咀嚼音をマスキング(他の音で覆い隠す)する方法は、すぐに取り入れられる対策です。深刻な場合は、心療内科やカウンセリングで認知行動療法(CBT)を受けることで、音に対する反応を緩和できることもあります。

クチャラーを放置するとどうなる?健康面・人間関係への影響

口呼吸の放置は歯周病・口臭・虫歯のリスクを上げる

クチャラーの原因が口呼吸の場合、放置すると口腔内の健康に悪影響が出ます。口呼吸は口の中を乾燥させ、唾液による自浄作用を低下させます。唾液には口腔内の細菌を洗い流す役割があるため、唾液が減ると歯周病菌や虫歯菌が繁殖しやすくなります。

日本歯周病学会のデータでは、口呼吸をしている人は鼻呼吸の人に比べて歯肉炎の有病率が2倍以上高いという報告があります。また、口腔内の乾燥は口臭の大きな原因にもなります。特にシニア世代は唾液分泌量が減少傾向にあるため、口呼吸が加わるとドライマウスが加速し、口臭が強くなることがあります。

さらに、口呼吸は睡眠時の無呼吸症候群やいびきとも関連しています。食事中だけの問題ではなく、全身の健康に影響する可能性があるのです。「たかが食べ方」と軽視せず、口呼吸という原因そのものを改善することが、複合的な健康リスクの予防につながります。

食事の場でのマイナス印象が人間関係を静かに蝕む

クチャラーは、本人が思っている以上に周囲に不快感を与えていることがあります。ある企業の調査では、「一緒に食事をしたくない人の特徴」の上位に「咀嚼音がうるさい人」がランクインしています。家族は我慢してくれていても、職場の同僚や友人は黙って距離を置くだけで、指摘してくれないことがほとんどです。

定年後の生活では、地域のサークル活動やボランティア、趣味の集まりなど、新しい人間関係を築く場面が増えます。そうした場での食事会やランチ会で、咀嚼音が原因で「あの人とは食事したくない」と思われてしまうのは、とてももったいないことです。

逆に言えば、食べ方を改善するだけで、周囲の印象がプラスに変わる可能性があるということです。食事は毎日のことですし、人と一緒に食べる機会も多いもの。食べ方のマナーは、年齢を重ねてからでも十分改善できます。

噛み合わせの放置は顎関節症や消化不良につながる

噛み合わせが悪い状態を放置すると、クチャラーの問題だけにとどまらず、顎関節症のリスクが高まります。噛み合わせの偏りは、片側の顎関節に過度な負担をかけ、口を開けるときの痛み、顎のカクカク音(クリック音)、口が大きく開けられないなどの症状を引き起こすことがあります。

また、食べ物をよく噛めないまま飲み込むことで、胃腸への負担が増え、消化不良や胃もたれの原因にもなります。特にシニア世代は消化機能が低下しているため、しっかり噛んで食べることが一層重要です。噛む回数が減ると、脳への血流も減り、認知機能の維持にもマイナスに働くとされています。

噛み合わせの治療は「今さら」と感じるかもしれませんが、残りの人生を快適な食事で過ごすための投資と考えれば、決して遅くはありません。まずは歯科医院で噛み合わせのチェックを受け、治療が必要かどうかを判断してもらうことから始めてみてください。

✅ クチャラー改善のためのセルフチェックリスト

  • ☐ 食事中に口が開いていないか、鏡や録音で確認した
  • ☐ 鼻呼吸ができているか確認した(口を閉じて1分間楽に呼吸できるか)
  • ☐ 一口の量を「いつもの半分」に減らしてみた
  • ☐ あいうべ体操を1週間続けてみた
  • ☐ 入れ歯の方:最後に歯科で調整を受けたのはいつか確認した
  • ☐ 鼻づまりがある方:耳鼻科を受診した
  • ☐ 噛み合わせに不安がある方:歯科で相談した

まとめ|クチャラーの治し方は原因を知ることから始まる

クチャラーは「育ちが悪い」「マナーがなっていない」というイメージで語られがちですが、実際には口呼吸や噛み合わせ、口まわりの筋力低下など、身体的な原因が関わっているケースが多いものです。「気をつけているのに治らない」と悩んでいた方も、原因さえ特定できれば、具体的な改善策が見えてきます。

この記事でお伝えした内容のポイントを整理しておきます。

  • クチャラーの音は「口が開いた状態で噛む」ことで発生する。本人に自覚がないケースが大半
  • 原因は主に6つ:口呼吸、噛み合わせ不良、口まわりの筋力低下、一口の量が多い、舌の癖、入れ歯の不適合
  • 今日からできる改善策として、一口の量を半分にする、食事の最初の5分だけ意識する、姿勢を正す方法がある
  • あいうべ体操・ペットボトルトレーニング・舌回しなどの口まわりの筋トレは、費用ゼロで自宅で取り組める
  • 噛み合わせや鼻づまりが原因なら、歯科矯正や耳鼻科での治療が根本的な解決につながる
  • 家族への指摘は「Iメッセージ」で、食事の場以外で伝えるのが効果的
  • 放置すると歯周病・口臭・顎関節症・人間関係の悪化など、食事以外にも影響が広がる

まず取り組んでいただきたいのは、「自分がどのタイプの原因に当てはまるか」を確認することです。スマートフォンで食事中を録音してみる、鼻呼吸ができるか試してみる、入れ歯の具合を歯科で確認する——どれも今日できることです。原因がわかれば、治し方は自ずと決まります。一つずつ、無理のないペースで取り組んでいきましょう。

※歯科矯正の費用や治療期間は医院によって異なります。具体的な治療方針は、かかりつけの歯科医師にご相談ください。

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この記事を書いた人

「みまもりノート」運営者。孫のお祝い事や冠婚葬祭のマナー、定年後の暮らしなど、人生の節目で気になることを調べてまとめています。同世代の方が「これで安心」と思える情報をお届けしたいと思っています。

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